★神居大橋(土木遺産)
「観るだけ美術部」部長は2021年10月、「山下清展」を観に旭川市に出かけました。その際、旧神居古潭駅駅舎なども見て廻りました。
「旧神居古潭駅駅舎」の記事はこちら
mirudakeartclub.hatenablog.com
今回は、その旧神居古潭駅駅舎に行くために架設された、石狩川に架かる「神居大橋」について紹介していきますが、その前に「神居古潭」について、少しだけ説明させていただきます。
「神居古潭」とは、アイヌ語で「魔神が住むところ」という意味です。「神居古潭」は、両側から断崖が迫り、石狩川の川幅が急速に狭まる場所です。この地では、川は渦を巻く激流となり、最深部の水深は70mにもなります。古く、人々の交通手段が川を下る木舟であったころ、ここでは多くの舟が激流に飲まれ、このため、魔神が住んでいると怖れられていました。
旭川地方に伝わるアイヌの伝説では、この魔神は「ニチエネカムイ」と言い、様ざまな禍を起こして人々を苦しめたため、英雄神サマイクルによって滅ぼされたと伝わっています。また、神居古潭を中心に南北にのびる「神居古潭変成岩帯」は、太古の昔、北海道が形成されたとき、北海道の西半分と東半分がここで衝突し、繋がったことを示すものとして、地質学上、世界的にも貴重なものとされています。
1898年に鉄道線路と、対岸の集落を結ぶため、地元の名士らが景勝地神居古潭に吊り橋を架けたことが「神居大橋」の起源です。1938年を始めとして、この「神居大橋」は何度も改修を経ています。
当初の「木製補剛トラス」の形式を継承しながら改修が行われてきました。かつての木橋の形式を現在に伝える貴重な遺産で、令和2年(2020年)土木学会選定による「土木遺産」に指定されています。なお、「旧函館本線神居古潭トンネル群」は平成27年(2017年)同遺産に指定されています。
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、ブログ運営者がみずから撮影したものです。