★29638号機(旧神居古潭駅にて静態保存)
「山下清展」の帰りに、旧神居古潭駅に立ち寄りました。旧神居古潭駅には、蒸気機関車3輌が静態保存されています。一時のSLブームは去り、最近では手入れもされず、状態のよくない蒸気機関車を多く見かけるようになりました。こちらの蒸気機関車も、もう少し手入れをしてほしいものです。
旧国道の脇にある駐車場から、神居大橋を渡って対岸に行き、階段を少し上ると、旧神居古潭駅駅舎があります。右手に旧駅舎があり、蒸気機関車群(3輌)は左手に静態保存されています。
こちらに保存されている車輌は、「キューロク」の愛称で親しまれた型です。こちらの車輌は「29638」の番号が付いていますが、「キューロク」は、当初は「96・・」という番号が割り振られていました。
「キューロク」つまり「国鉄9600型蒸気機関車」は、国鉄の前身であった鉄道院が1913年(大正2年)から13年間にわたって製造したもので、日本で初めての本格的な国産貨物列車牽引用のテンダー式蒸気機関車でした。「キューロク」のほか、「クンロク」「山親爺」とも愛称され、この時代を代表する貨物用標準機関車でもありました。四国を除く、全国各地で広く活躍したようです。
「キューロク」は、製造停止までの13年間で784輌(770輌とする説もあります)造られたようです。そのうち270輌は、満州や樺太、台湾などに送られ、現地でも活躍しました。
9600型蒸気機関車は、狭軌鉄道向けの機関車としては従来は搭載不可能とされてきた巨大なボイラーを、台枠の上に火室を載せることで、走行を可能にさせた画期的な機関車でした。しかしそのため、重心位置が高くなってしまい、最高速度は65㎞/hほどしか出なかったそうです。なお、9600型は、1918年(大正7年)に石炭を満載した10トン貨車75両を牽引して北海道室蘭本線を走行したことがあり、これは日本で蒸気機関車が最も多くの車輌を連結した記録だそうです。
9600型蒸気機関車の多くは川崎造船所で製造されているのですが、こちらの「29638号機」は、1917年(大正6年)小倉工場で製造されたことが判明しています。なお、小倉工場で製造された9600型蒸気機関車としては、こちらの29638号機は初号機だったことがわかっています。
ちなみに、蒸気機関車の最後の運行(1976年(昭和51年)。山口百恵さんが最終列車に乗車しました)は北海道室蘭本線で行われたのですが、このとき走ったのがこの9600型蒸気機関車(79602号機)でした。
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