積丹町/カムイ番屋、通年公開(2022年は10月31日までの公開)
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積丹町が誇る景勝地、神威岬。この「神威(カムイ)」とは、アイヌ語で「神」を意味する言葉です。神威岬の突端である海抜80mの断崖に建つ神威岬灯台は、1888年(明治21年)に初点灯され、130年以上にわたり海の安全を守り続けてきました。その神威岬灯台でかつて使われていたレンズが、およそ60年ぶりに積丹町に戻り、8月より公開されています。
神威岬灯台は、北海道庁が1888年(明治21年)から6年間かけて20基の灯台を設置したうちの1基。現存する北海道の灯台のなかでは5番目に古い灯台でもあります。これまで1923年(大正12年)と、1960年(昭和35年)の2回にわたり改修されています。
今回、積丹町に戻ってきたのは、神威岬灯台の2代目のレンズで、1960年(昭和35年)まで使用されていたフランス製の第一等レンズです。3代目の代替わりに公益社団法人「橙光会」の保有となり、「橙光会」から1961年に大阪のテーマパーク「みさき公園」へと貸し出されました。そして園内の役目を終えてからは、そのまま大阪の地で保管されていましたが、このテーマパークが2020年3月に閉園されることになり、いったん橙光会へと返還され、それまでレンズの誘致をしてきた積丹町に今回、無償で貸し出されることになりました。
画像のレンズが、昭和中期まで神威岬灯台で燈を灯した「第一等レンズ」です。1876年(明治9年)製造のフランス・ソーターハーレー社製の第一等レンズで、高さ2.5m、直径2m。ノコギリのようなギザギザした断面が特徴のフレネル式。1923年(大正12年)から37年間使用された回転しない「不動レンズ」で、釣り鐘状。側面8面のうち6面にガラス製レンズがはめ込まれています。この大きさのレンズとしては「国内唯一の現存物」としてとても貴重なものだそうです。
このレンズと合わせ、神威岬灯台の歴史や、灯台の役割を学べる資料、そして当時の灯台守の生活などを伝える写真展示なども行われています。常設展示ですが、2022年は10月31日までの公開となっています。