「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[シルクロード]★(№036)新疆-キルギス-カザフスタン-ウズベキスタン 6日目

 

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(「「観るだけ美術部」部長のシルクロードキャラバン(妄想編)」の予定ルート)

 この日は、イシククル湖北岸から首都のビシュケクを目指します。途中、カラハン朝の都城跡と言われる遺跡や、玄奘三蔵が西突厥の王に謁見したとされる王城跡アク・ベシム遺跡を訪ねます。夕食は、キルギスの民族舞踊を鑑賞しながらの食事となります。

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(イシククル湖のビーチリゾート。いくら「熱湖」と言えど・・)

 前回もお話しましたが、このイシククル湖は玄奘三蔵大唐西域記』では「熱湖」と記載されています。冬季でも凍らないからだと思うのですが、ここには立派なビーチリゾートがあります。しかし、それほど暑い気温でもないです。

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(イシククル湖を抜けて、ビシュケクへの難所を通過しました)

 「熱湖」のイシククル湖を離れると、峡谷に沿った道路となります。激流が渦巻く場所で、玄奘三蔵が歩いた時代は相当な難所だったはず。いまでは道路が整備され、比較的快適に通過できます。

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(ブラナの塔。立派な塔が建っていますが、これは後世に造られたもの)

 2時間ほどクルマを走らせ、ブラナの塔で休憩を兼ねて見学となりました。このブラナの塔は、カラハン朝の都城の跡だとも言われています。カラハン朝は、西暦840年にチュルク(トルコ)系カルルク人が建国した遊牧民による部族連合国家で、10世紀ごろにイスラム教を受容したことで知られています。ちなみに、このブラナの塔は11世紀に建てられたミナレットの跡。これから訪れるアク・ベシム遺跡と共に世界遺産に指定されています。建物の内部見学は出来ますが、撮影は禁止です。

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(ブラナの塔。周辺は公園のようになっており、繫栄した当時の雰囲気はありません)

 カラハン朝は、その後1212年まで東トルキスタン地域を支配しましたが、11世紀中ごろ、モンゴル帝国により圧迫された西遼(カラ・キタイ)によって併合されました。イスラム教受容を早くに行い、この地を始めて「トルキスタン(=トルコ人の土地)と呼びました。

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(ブラナの塔周辺には、こうした石像も建っています)

 都城跡と言われているブラナの塔ですが、その周辺には石像(石人)がたくさん建っています。とてもユーモラスな表情の石像(石人)なのですが、その年代や宗教的な意味はよく分かっていません(西突厥の兵士の墓標だという説もあります。その根拠は、石像(石人)が左手に剣、右手に馬乳酒の杯を持っているものが多いからだそうです)。

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アク・ベシム遺跡。西突厥都城跡と言われています)

 また1時間ほどクルマを走らせると、アク・ベシム遺跡に到着します。ここは、7世紀ごろ唐朝と激しく対立した西突厥都城(スイアーブ遺跡、砕葉城、素葉城)跡と言われています。ここも世界遺産です。唐からトルファン(高昌国)、クチャ(亀慈国、屈支国)を経てこの地へと足を踏み入れた玄奘三蔵は、ここで西突厥の王と面会し、安全な通行を依頼し、通行許可の書状を得たと言われています。西突厥王は当時仏教に帰依していたと言われています。天竺までの道のりの過程で、この通行許可状はとても重要だったことでしょう。それほど重要な城塞であったアク・ベシム遺跡ではありますが、現在のこの遺跡からは、当時の壮麗な都城を想像するのは難しいです。崩れかかっている部分も多く、さらなる修復が必要だと思いました。

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キルギスの民族舞踊。衣装がとてもエキゾチックで素敵)

 アク・ベシム遺跡を出て、さらに3時間ほどクルマを走らせると、ようやくこの日の宿泊地、ビシュケクに到着しました。このところ、ユルタでの宿泊が多かったのですが、この日は簡易ながらもしっかりした「ホテル」で、ほっとひといき。

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(この踊り子さん、とても美しいですね。惚れちゃいそうです(笑))

 ホテルに到着後、キルギスの民族舞踊を鑑賞することができました。踊り子さんがとても美しく、また衣裳もとてもエキゾチックでした。すでに中国の面影はなく、どちらかと言うと、ここはロシアに近いのだな、という印象を強く感じました。

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キルギスの家庭料理が振る舞われました)

 この日の夕食は、キルギスの家庭料理。肉食の多いシルクロードの旅ですが、キルギスは野菜やスープなども多く、また味付けも濃くは無いので、日本人には好まれると思います。プロフ(中央アジア風のピラフ)も美味しくいただきました。

あしたはきょうよりもっといい日。