きょうは蘭州市への移動ですが、少し時間があったので、天水市郊外の「李広墓」に寄っていきます。
李広は、前漢の時代に天水で生まれた名将です。幼いころから武芸に秀でて、長じてからは匈奴に「漢の飛将軍」と呼ばれて恐れられた人物でした。ところが最期には匈奴の戦いで後方軍(殿軍)に回された挙句、退路を失ったため到着が遅れたことから、衛青大将軍に責任をとがめられ、自刃に追い込まれた悲劇の将軍でした。この陵墓には、李広の衣冠が収められているっそうです。なお、右側に立っているのは記念碑で、1934年(民国23年)に建てられたものだそうです。
さて、再び天水駅に戻り、高速鉄道に乗って、次の蘭州市に向かいます。蘭州市は甘粛省第2の都市で、ここからは2時間の乗車となりました。
昼食は、蘭州の郷土料理「牛肉麺」です。「牛肉麺」は、蘭州市の名物料理で、日本では「蘭州ラーメン」とも言われる清真料理(イスラム料理)です。日本では薬味としてネギが使われますが、「牛肉麺」にはパクチーが薬味としてトッピングされています。ピリリと聞いたラー油の風味のなかに、シルクロードのエキゾチックな香りが漂い、ああここはシルクロード上の町なんだな、と思わせてくれます。日本ではラーメンの麵と言えば、製造過程で「かん水」を使った柔らかい麺ですが、「牛肉麺」はうどんのようなモチモチとした食感。細さは細麺から太麺までいろいろありますが、入門者は細麺がおススメ。生地を軽快に引っかけて伸ばす作業も観ることができ、まるでエンターテイメントです。
「牛肉麺」を味わったのち、甘粛省博物館に移動しました。ここには、有名な「馬踏飛燕」像があります。この像は銅製で、こちらの博物館の収蔵品のなかでは最も有名なもの。武威市の雷台漢墓から出土したもので、2世紀に作られたと推定されています。
この奔馬は中央アジア(トルクメニスタンあたりかな)から中国に入ってきた「汗血馬」をモデルに作られたのではないかと言われています。汗血馬は、世界にその名を轟かせた名馬で、首のあたりから、まるで血のような赤い汗を流しながら駆けると言われました。その名馬を求めて、漢の武帝は中央アジアに何度も攻め入ったというのは有名な逸話です。
宿泊は「蘭州錦江陽光酒店」。壁掛けTVやLAN端子が付いていて、とても快適。窓を開けて外を眺めると、蘭州市街が見渡せました。甘粛省の省都ということで、地方からの人口流入も多いそうです。多くは出稼ぎだということです。