★池田貴夫「北太平洋地域諸民族の文化とクマ儀礼 ヒグマの民俗展」
大雪クリスタルホール・旭川市博物館、2024年8月17日(金)14:00
(WEBサイト→)
www.city.asahikawa.hokkaido.jp
ヒグマは、日本では北海道のみに生息する、日本最大の陸上哺乳類です。
アイヌの人びとにとって狩猟の対象であり、肉は食料に、毛皮や胆嚢は交易品にもなりました。ヒグマはキムンカムイ(山の神)と呼ばれ、春の穴グマ猟の際に持ち帰った子グマを育て、その魂をカムイの世界へ送るイオマンテは、人間世界への再訪を願う重要な儀礼でもありました。明治時代を迎え、北海道開拓使は毒矢や仕掛け弓の使用を禁止しましたが、アイヌの人びとは鉄砲の貸与を受けるなどして、ヒグマの狩猟や儀礼を続けてきました。
いっぽう、明治20年代から上川地方の開発が始まり、山林を切り拓いて道路が造られ、農耕地が拡大され、本州からの移住者が増加し始めました。開墾が進んでいくのに伴い、ヒグマによる農作物や家畜への被害が多く見られるようになりました。また野生生物の生息場所が狭くなったことで、ヒグマと人間との接近も増え、現在まで人的被害もたびたび発生しています。ヒグマは甚大な被害をもたらす危険な生物として恐れられています。しかしヒグマは、北海道観光みやげのモチーフとなったり、企業や自治体のキャラクターになったり、道民にとって身近で親しみのある存在でもあります。
本展では、上川地方に暮らしてきた人びとと、ヒグマの関わりについて紹介します。ヒグマと人間の関係がどうあるとよいのかを考えるヒントになれば幸いです。
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、旭川市博物館さま(HP)よりお借りしました。
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