「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[建築物]★ロンドン塔(イギリス・ロンドン、世界遺産)

(ロンドン塔。城壁の向こうにひときわ高く見える尖塔が「ホワイト・タワー」)

★ロンドン塔(世界遺産、イギリス・ロンドン)

 地下鉄タワー・ヒル駅を降りたら、そこはもう、かつてロンドン塔牢獄時代は処刑場があった場所。公開処刑は、当時ロンドンで人気の見世物でもありました。群衆が見守るなか、ここで人生の終焉を迎えた囚人たちは数知れません。

 タワー・ヒル駅から地下道に通じる階段を降りると、崩れかかった城壁に突き当たります。これは「シティ・ウオール」と呼ばれ、古代ローマ帝国時代に築かれた城砦の一部なのだそうです。続いてロンドン塔の裏門に出て、緩く坂道を下ると、チケット売り場があります。

(「ホワイト・タワー」イギリス国内における城砦建築の典型例になりました)

 ロンドン塔は、そもそもは1066年に即位したウィリアム征服王が、ロンドンを守るための要塞を築いたのが始まりとされています。一時期は王室の居城として使用され、建物は拡大拡充されましたが、その後の牢獄として使われた時代のほうが皮肉にも長くなり、暗く陰湿なイメージのほうが定着してしまいました。王族のほかには、ジェフェリー・チョーサー、トマス・モアなど、多くの著名人が投獄されています。

(ジュエル・ハウス。有名な「アフリカの星」も収蔵されています)

 建物で最も有名なのが「ジュエル・ハウス」。中世の王室における主要な宝石庫でした。イギリス王室が戴冠式で使用する「クラウン・ジュエル」もその一部はここに保管されています。現在では、世界最大級の530カラット(!!)のダイヤモンド「アフリカの星」をはめ込んだ王笏、東インド会社ヴィクトリア女王に贈った「コヒヌール」、ダイヤモンドが散りばめられた王冠(ロイヤル・クラウン)などが収蔵されています。

(これが「アフリカの星」!!)

 「ジュエル・ハウス」に隣接する中庭は、かつて地位の高い人たちが処刑されたところ。そのなかでも特に痛ましいのが、「9日間の女王」とも呼ばれるレディ・ジェーン・グレーと、ヘンリー8世の2番目の皇妃アン・ブーリン。ジェーンは戴冠式を待ってこのロンドン塔入りしたのですが、従妹のメアリー1世に王位を奪われ、挙句の果てに反逆罪で斬首されました。また、アン・ブーリンは世継ぎの皇子ができないのを理由に姦通罪として処刑されています。中庭に隣接する「セント・ピーター・ピンキュラ礼拝堂」には、現在でも礼拝堂の大理石下に無実の罪で処刑された人たちが眠っており、夜な夜な幽霊になってさまよっているそうです。

(ポール・ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』、1833年、ロンドン・ナショナルギャラリー)

 建物の中核をなすのが「ホワイト・タワー」です。城壁の向こうにひときわ高く見えます。ここには、甲冑や武具、ヘンリー8世の甲冑、拷問に使用された拷問道具の一部、そのほかロンドン塔の歴史を学べる展示物が並んでいます。

 

※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、1枚目はブログ運営者がみずから撮影した画像、そのほかの画像はロンドンナショナルギャラリーさま(HP)、ベルトラ社さま(HP)よりお借りしました。

 

あしたはきょうよりもっといい日。