「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[シルクロード]★河西回廊 西安とシルクロード石窟寺院 8日目 (010)

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(「観るだけ美術部」部長のシルクロードキャラバン(妄想編)」の予定ルート)

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(嘉峪関長城賓館。きょうは万里長城の西端、嘉峪関に向かいます)

 昨日は、嘉峪関長城賓館に宿泊。遅い時刻の到着だったので、食事のあとは、疲れてそのまま寝入ってしまいました。この日も、朝早くまた移動です。まずはホテルから20kmほど離れた「魏晋壁画墓」を観光しました。

 「魏晋壁画墓」は、砂礫の砂漠(ゴビ)にある地下墓で、内部は前室、中室、後室とあり、およそ1500年前の生活の様子が描かれています。1972年に発掘が始まり、ここに1400あまりの墳墓が存在することがわかっているのですが、現在観光客に開放されているのは6号墓と7号墓のみ。敦煌莫高窟と同じ魏晋時代からのものですが、仏教色の強い莫高窟と違って現実の生活が垣間見える貴重な資料であり、牧畜や狩猟などを描いたものが多いです。

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(「魏晋壁画墓」。当時の牧畜や狩猟の様子が伺えます)

 そのあと、万里の長城の西端に位置する関所「嘉峪関」に向かいました。「嘉峪関」は、正式には「嘉峪関関城」といい、内城、外城、長城などから構成されていて、全長は60kmにも及びます。そのうち、内城は周囲733m、高さ11mの城壁に囲まれ、黄土を「版築」という工法でつき固めたもの(日干し煉瓦に似た工法です)で造られています。西側の一部には、煉瓦も積み重ねられています。東西に楼閣(門楼)があり、東門を「光化門」、西門を「柔遠門」と言います。「柔遠門」には「嘉峪関」の扁額が掛かっています(1495年の増築部分)。

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(「嘉峪関」は、万里の長城の西端。これよりさきは、漢民族による防衛ラインの外ということです)

 嘉峪関関城の南北は万里の長城と繋がっていて、城壁の隅角には櫓が設けられています。万里の長城に繋がる関(関所、城郭)のなかで、唯一建設当時のまま(明代)に残されている建造物です(1539年の増築部分)。

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(嘉峪関関城は、内城、外城、長城(城壁)部分とに分かれています)

 万里の長城に存在した3つの関(関所、城郭)のうち、最東端にある山海関が「天下第一関」と称されるのに対して、嘉峪関は「天下第一雄関」と言われています。嘉峪関は、シルクロードの戦略防衛上の要衝でもありました。城壁からは、雄大祁連山脈(きれんさんみゃく)を望むことができます。

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(嘉峪関関城の城壁の一部は万里の長城と繋がっており、防衛ラインを形成しています)

 明代の1372年(洪武5年)に建設された嘉峪関は、のちにティムール軍に対する防衛の必要性から防備が強化されたそうです。1495年には東西の城門を築き、1539年にはさらに楼閣を増築、両翼の長城を補修、烽火台が築かれています(しかし、そのティムール軍は、指導者であったティムールが明朝侵攻の直前に亡くなったため、嘉峪関が実際の戦闘に使われることはありませんでした)。

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(「長城第一墩」は、嘉峪関関城の最も西にある城壁(櫓)です)

 嘉峪関から足を延ばして、「長城第一墩」にも立ち寄りました。嘉峪関関城の最も西にあり、嘉峪関関城までは7.5kmもの城壁で連結されています。また、近くにある「懸垂長城」は、傾斜角度45度という険しい地形に築かれているため、当時の万里の長城の建設に対する明朝政府の本気度を肌感覚で感じられます。

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(「雪山駝掌」。駱駝の脚肉料理。敦煌地方のローカル料理です)

 嘉峪関市をあとにして、5時間マイクロバスに乗り、夜になってようやく敦煌市に到着しました。この日も強行軍だったので、疲れましたが、この日は有名な敦煌地方の料理「雪山駝掌」がメインディッシュとしてメニューに出ました。

 ラクダの脚の肉を使った料理で、敦煌地方の有名なローカル料理だそうです。ラクダの肉は、比較的堅くて食べられないそうですが、この料理に使う脚肉は、そのなかでも特に柔らかい部位を使って調理しているそうです。ラクダの脚肉は、匂いも多少あるので、好みは分かれると思いますが、とても高級な料理なのだそうです。

 

あしたはきょうよりもっといい日。