苫小牧市中央図書館、2010年10月19日(火)-11月7日(日)
1910年(明治43年)当時官僚だった柳田國男に、遠野出身の大学生・佐々木喜善が、ふるさとの伝承を話して聞かせたことがきっかけで、『遠野物語』は誕生しました。この二人の運命的な出会いによって生まれた『遠野物語』。こののち柳田は日本民俗学の創始者、佐々木は後に「日本のグリム」と呼ばれる昔話研究の先駆者への道を歩むことになります。柳田は、『遠野物語』の執筆にあたり、何度も佐々木喜善の話を聞き書きしたほか、自らの目で遠野の原風景を確かめるため、1909年(明治42年)8月に遠野へ旅をしており、この様子は、『遠野物語』序文に詩情豊かに表現されています。
本文では、遠野の地勢にはじまり、神々の由来、天狗や河童、ザシキワラシ、魂の行方、神隠しや歌謡など、遠野に伝わる不思議な話が119話にまとめられています。厳しい気候風土の中で、遠野の人々は、自然をあがめ、恐れ、交流と調和を保つことによって暮らしてきたのです。その経験に培われた民話、郷土芸能、年中行事などの民間伝承が、『遠野物語』に結晶していたと言えるでしょう。
また『遠野物語』は、民俗学の夜明けを告げる金字塔でありながら、高潔で洗練された文体の作品として、文学的評価も高いのです。『遠野物語』は、100年にわたって読み継がれ、その魅力は今なお多くの人々を遠野へと誘ってやみません。
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