「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[鉄道遺産]★上厚内駅 駅舎主屋(鉄道遺産50)

 一部に(?)人気のある「鉄道遺産」コーナーです。なんだかんだで、今回が連載50回目です。だんだん悪乗りしてきて、面白くなってきたので、まだまだ続くかも知れません。よろしくお願いします。
  
上厚内駅 駅舎主屋(根室本線
 上厚内駅(かみあつないえき)は、十勝郡浦幌町上厚内にある根室本線です。相対式2面2線ホームの地上駅。駅舎側1番線が下り(厚内・白糠・釧路方面)、2番線が上り(浦幌・池田・帯広方面)となっています。
無人駅ですが、鉄道旅行者の間では大変人気の高い駅です。写真でもわかるように、駅舎は古く貫禄があり、土のプラットホームと合わせて、国鉄時代の雰囲気をそのままに伝えています。車やバイクで立ち寄る人も多く居ます。もともと信号場として、1910年(明治43年)に開業しており、1924年(大正13年)に停車場となりました。駅前には小集落はありますが、店は1軒もありません。
現在の駅舎は、1953年(昭和28年)に建てられたものです。鉄板葺きの切り妻屋根に、短い煙突が1本、屋根下の小壁(こかべ)には漆喰を配した下見板張りの外壁。正面入り口の引き戸など、ほとんどの建具や窓枠が木製のまま残っている、素朴で小さな、かわいらしい平屋です。入り口の駅名標は、青地に白文字のホーロー板。昭和の郷愁が強く感じられ、とても味わいが深い木造駅舎です。左側に見える小さな小屋が、トイレ棟です。周辺では過疎化が進み、2002年(平成4年)には無人駅になりました。しかし、駅にはノートが置かれ、この駅に好感を持つ人が非常に多いことを教えてくれています。
 この駅舎は、ぼくが自転車旅行をしていたとき、いちばん最初(だからつまり、人生でいちばん最初)に駅で寝たときの駅舎です。土間にマットを敷いたら、もうそこは天国でした。トイレもあり、ベンチもあり、屋根があって、壁があって、電気も点いて・・申し分ないところでしたよ。
 ただひとつ。ここの駅の始発が6時。朝、目が覚めてみると、ベンチに腰掛けたお婆さんが5・6人ほど。土間に寝ていた自分は、そのお婆さんたちを見上げて、ひとこと「・・・おはようございます・・」というのがやっと。そしたら「旅人さん、何も何も、寝てて頂戴。時間になったら、わたしたちは汽車に乗って居なくなるから。そしたらまた、誰も来なくなって、静かになるからさ」と言ってくださいました。
 なんという優しさ、なんという旅行人慣れしていることでしょう。東京では、ありえないことですね。時代も、そういう旅人に寛容な時代だったのでした。ぼくはまた、眠りに落ち、気がついたのは7時過ぎ。もうホームにも駅舎にも、誰も居なくて、ただそこにはレールが延びているだけでした。「じゃあ、行くか」去るのが名残惜しく、ノートにも思い出の文章を書き、また来るからな、とココロで叫んで、そこを離れました。それから以後、何度も上厚内駅の横を通り、駅舎にも懐かしく思って立ち寄ったりしましたが、ここで寝泊りしたことは、あとにも先にも、そのときだけでした。
 
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あしたはきょうよりもっといい日。