
★(当館学芸員)「ギャラリーツアー ウィーン万国博覧会とアイヌコレクション展」
ウポポイ/国立アイヌ民族博物館、2025年10月13日(月・祝)、10月18日(金)14:00
(WEBサイト→)
明治政府が国の威信をかけて初めて参加した1873年(明治6年!)のウィーン万国博覧会。西洋にはない精巧な美術工芸品を中心に、地域の物産を出品し、日本は国際舞台に躍り出ていくことになります。そのなかで、アイヌ・コレクションは北海道の物産として開拓使や博覧会事務局により収集・選定・出品されました。

本展では、およそ150年ぶりに北海道に戻ってくるドイツ・ベルリンの海外コレクションを展示し、日本にとって近代化と国際化の象徴であるウィーン万博を起点とした、アイヌ・コレクションの形成とその時代背景を紹介します。

「日本館内部の様子」、東京国立博物館)
ウィーン万国博覧会は、1873年5月1日から11月2日までの半年間にわたり、オーストリア・ハンガリー帝国の首都ウィーンで開催されました。日本画初めて公式に参加した万国博覧会でした。明治政府は、博覧会参加にあわせて全国から資料を集めました。アイヌ資料も北海道における「固有」の物産として体系的に収集されました。

ウィーン万国博覧会参加の目的に、国内における学芸の進歩のため日本初の博物館構想もありました。そこには、江戸時代に仲間内で品物を持ち寄り品評する「物産会」から、国家が「モノを集める」物産会(博覧会)へという系譜が見られます。そして、のちの恒久的な展示施設としての博物館へと繋がっていきます。

江戸の知識人たちの好古趣味としてはじまったアイヌ・コレクションは、ウィーン万国博覧会をきっかけに、北海道や樺太、千島南部など地域性、生活用具の組み合わせを意識した体系的な収集へと変化していきました。ウィーン万博を起点として、「見せる」ことを意識した「伝統的なアイヌ文化」のパッケージがつくられていきました。
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、ウポポイ/国立アイヌ民族博物館さま(HP)よりお借りしました。
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