北海道立近代美術館、2021年9月15日(水)-11月7日(日)
(WEBサイト→)
正倉院宝物とは、奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に伝えられた、およそ9,000件に及ぶ品々です。その多くが奈良時代の作で、聖武天皇ゆかりの品をはじめ、調度品、楽器、遊戯具、武器・武具、仏具、文書、染織品など多彩な分野にわたります。中には、西域や唐からもたらされた国際色豊かな品々も含まれるなど、天平文化の華やかなりし当時の東西交流も伺い知ることができます。
しかし、およそ1,300年を経て、現在に至る正倉院宝物は、きわめて脆弱であるため、毎年秋に奈良で開催される「正倉院展」で一部が展覧される以外は、ほとんど公開されてきませんでした。明治時代に宝物の修理と一体の事業として始められた模造製作は、1972年(昭和47年)から宮内庁正倉院事務所によって、宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点を置いて本格的に行われるようになります。以来、人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技と、最新の調査・研究成果との融合により、優れた作品が数多く生み出されてきました。これから単なる模造ではなく、もはや究極の伝統工芸品であると言えます。
本展では、天皇陛下のご即位をはじめとする皇室の御慶事を記念し、これまでに制作された数百点にも及ぶ再現模造作品の中から、選りすぐりの逸品を一堂に集めて公開するものです。再現された天平の美と技に触れていただくと共に、日本の伝統技術を継承することの意義も感じていただけることと思います。
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、北海道立近代美術館さま(HP)よりお借りしました。