「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[講演会]★金子信久「へそまがり日本美術 禅画から家光まで」

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(へそまがり日本美術展)

★金子信久「へそまがり日本美術 禅画から家光まで」

 北海道立近代美術館、2021年7月17日(土)11:00

(WEBサイト→)

artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp

 

 日本で古くから受け継がれてきた「きれい」で「立派」な造形作品の数々は、いまも多くの人の心をとらえ続け、美術史を輝かしく彩っています。その一方、日本美術のふところは広く、決してきれいとは言えないけれども、楽しく心地よい作品や、不格好で不完全だけど心に残る作品も点在しています。それらを生み、受け入れてきたのは「へそまがり」ともいえる感性で、現代においても「ゆるい」「ヘタウマ」な表現になぜか心惹かれてしまうという経験をもつ人は少なくないのではないでしょうか。

 たとえば、破格の構図と筆致で観る者に驚きをあたえる白隠。大胆さと繊細さの合わせ技で常識に揺さぶりをかける仙厓。かつての禅僧たちがあらわした禅画は、禅という別世界に案内する窓となり、いまも私たちの「へそまがりな感性」を強く惹きつけます。

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徳川家光『兎図』)

 ほかにも、お世辞にも上手いとは言えないけれど独創的な絵を描いた徳川3代将軍・家光。突拍子もない造形を生み出す奇想の画家・若冲。近代芸術家として名高くも、じつは「おとぼけ感覚で」で笑いを誘う萬鉄五郎。わざと下手に描いたのか?と思わせる「素朴」な表現に傾倒した三岸好太郎。1980年代に流行した破壊的「ヘタウマ」漫画の蛭子能収など、時にややこしくも面白い感性は、常識を疑い、平凡さを越える力を私たちに与えてくれます。

 中世から現代にいたる「へそまがりな感性」の所産を紹介する本展は、2019年春、東京・府中市美術館で開催されて大きな反響を呼び、巡回を熱望する声が絶えませんでした。初めての巡回先となる本展では、蠣崎波響や片岡球子など北海道ゆかりの作品も加えます。きれいでも立派でもない-けれども、輝かしく、そして悩ましくも素晴らしい作品の数々からは、ありきたりの美術史観とは異なる、日本美術の新たな味わい方、楽しみ方が見えてくるはずです。

 

※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、北海道立近代美術館さま(HP)よりお借りしました。

あしたはきょうよりもっといい日。