「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[常設展]★加藤顕清『アイヌの乙女の像』、1961年

 憧れでもあった「札幌グランドホテル」に、2021年10月に宿泊することができました。札幌グランドホテルは創業1934年(昭和9年)、札幌を代表する迎賓館的存在で、過去には昭和天皇を始め皇族の皆さまのほか、ヘレン・ケラーなども宿泊した由緒あるホテルです。

 ここに宿泊した時に、渡り廊下に加藤顕清が制作した彫刻が常設展示されているのを偶然見つけ、興奮しました。ご紹介いたします。

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(加藤顕清『アイヌの乙女の像』、1961年(昭和32年)、札幌グランドホテル)

 加藤顕清は、1894年(明治27年)岐阜県生まれ、生後間もなく深川市に転居し、上川中学校(現在の北海道旭川東高等学校)を卒業後、上京して上智大学哲学科に入学。中原悌二郎の彫刻作品に出合ったのをきっかけに、1915年(大正4年)東京芸術学校彫刻家に入学。在学中の1921年(大正2年)『静寂』が帝展入選、その後3年連続で帝展特選受賞となりました。1934年(昭和9年)日本彫刻家協会を創設し同会会長に就任。1946年(昭和21年)日本彫刻家連盟委員長、1950年(昭和25年)日展参事。1966年(昭和41年)日本彫刻会会長就任。同年逝去されています。代表作に『コタンのアイヌ』(1941年、東京藝術大学)、『人間像-感情』(1952年、旭川郷土博物館)などがあります。

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(ほんとにさりげなく置いてあります。気づかない観光客も多いかも)

 今回鑑賞させていただいた『アイヌの乙女の像』は、1961年(昭和32年)の制作で、石狩陶園との共同作品。「札幌グランドホテル開業記念帯留」との副題が添えられています。ホテルの北口玄関から、北1条通りの南口玄関に通じる連絡通路脇に設置されています。衣装などは荒々しく生命感あふれる作風ですが、表情や手などはじつに繊細で柔らかく優美に仕上げられています。加藤顕清の真骨頂ともいえる作品で、偶然見つけたときは驚きました。札幌グランドホテルに宿泊された際には、ぜひご鑑賞ください。(2021年10月、現状を確認)

 

※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、ブログ運営者がみずから撮影したものです。

 

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