こちらの建物は、日本製鋼所室蘭製作所に残る旧発電所です。日本製鋼所では、建物は1番から順に番号が振られてあり、こちらの建物は9番目であることから、「第九工場」と呼ばれていました。建物の入口には、いまでも「№9」というパネルが掲げられています。建物正面にあった煙突は、2004年倒壊の危険性があることなどから解体されています。
こちらの建物は、1909年(明治42年)の建築。外観からすると3階建てに見えますが、内部は煉瓦造りの平屋建て。ファサード(建物正面)には妻面を据えて、堂々たる風格です。ファサード(正面)中段部分に規則正しく3つ並ぶ丸窓は、特にこちらの建物の印象を軽快にさせてくれます。側面には半円アーチ窓が規則正しく並び、古典的で重厚感あふれる作りになっています。この建物が建築された時期は、工場建築における防火意識が高まっていた時期でもあり、重要な建物は煉瓦造りとすることが多くありました。日本製鋼所は、室蘭空襲で壊滅的な被害を受けたところなのですが、こちらの発電所は破壊をまぬがれて現存しています。現在は倉庫として利用されているそうです。(2015年12月、現状を確認)