「観るだけ美術部」部長のブログ

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[建築物]★蕙山苑(栗林本邸)(室蘭市)

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★蕙山苑(栗林本邸)
 室蘭市の古い住宅街・常盤町に、重厚な表門と板塀に囲まれてたたずむ美しい庭園と豪奢な和風邸宅があります。これが「蕙山苑」です。室蘭を代表する商社、栗林商会の創始者であった栗林五朔〈現・(株)栗林商会会長・栗林徳光氏の祖父〉氏が、巨額の私財を投じて1909年(明治42年)に建てたもので、「蕙山苑」の名は五朔氏の雅号「蕙堂」にあやかったものです。
 
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 当時の室蘭は、日本製鋼所輪西製鐵所(現・新日鉄住金)の建設や、室蘭港の整備でにぎわい、政財界の要人が相次いで室蘭を訪れていたころで、その要人をもてなすためのいわば“迎賓館”として建てられました。
 
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 外塀は源氏塀、表門は武家門といわれる造りで、屋根にはかわらを使用した典型的な本州の寺社建築様式の建物です。
 
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 こちらは玄関脇の張り出しに位置する応接間(洋室)部分。欧米滞在を経験した2代目が、室蘭に戻ったあとで、1935年(昭和10年)に増築した豪華な部屋です。細部にいたるまで精巧な造りで、その意匠に目が釘づけでした。
 
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 画像の正面奥に見えるのが、この洋室に設けられた暖炉です。重厚な趣きがあります。暖炉の上部の木材細工や、明り取り窓の意匠も素晴らしいものです。
 
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 こちらのモザイクタイル張りの部分には、水が注がれていたのでしょうか。個人的には、いちばん興味を惹かれました。窓辺は採光に優れており、居心地がよさそうな空間です。
 
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 こちらの画像は座敷(大広間)部分。縁側を解き放つと、風流な中庭を鑑賞できます。縁側の窓ガラスには、向こうが歪んで見える建築当時のものが多く残されています。座敷(大広間)の造作も見事で、金泥塗りの襖(ふすま)や、欄間細工に目を見張ります。
 
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 建築にあたっては、五朔氏の出身地の越後地方や、京都から、多くの宮大工を呼び寄せ、釘を1本も使わずに入念に仕上げられたそうです。建築後1世紀を経たいまでも、建具に狂いはなく、ぴたりと閉まるとか。長い縁側にある丸桁(がぎょう)には、27mの杉の一枚板が使われており、見る者の目を奪います。
 
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 庭園では春のつつじ、秋の紅葉がとても美しく咲きます。測量山を後背に抱え、敷地内には湧水が流れています。天気のよい日には、噴火湾のかなたに駒ヶ岳も望むことができるそうです。
 
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 邸宅と同時期に建てられた稲荷神社が往時の姿を留め、慶事の度に木製の鳥居が建てられてました。鳥居は現在、すべてコンクリート製に建て替えられています。
 大きな入母屋破風を持つ玄関には、格調高い格子天井や扇垂木(おおぎたるき。放射状に配した垂木のこと)が観られます。とても手の込んだ造作に驚きです。
 
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※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、ブログ運営者がみずから撮影し、掲載許可をいただいたものです。他ブログや他ホームページからの無断使用ではありません。なお、こちらの建物は通常公開されていません(1年に一度、特別に公開されています)。
 
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