北海道大学クラーク会館、2012年6月9日(土) 14:30
「明治45年に恵迪寮寮歌「都ぞ弥生」が誕生して今年で百年になる。しかし、「都ぞ弥生」は一日にして成ったのではない。明治5年に札幌農学校の前身「開拓使仮学校」が芝増上寺内に設置されて以来40年にわたる若者たちの苦闘と希望が、作歌の横山芳介と作曲の赤木顕次によって結晶されたものである。恵迪寮の名は「都ぞ弥生」のメロディーにのって満天下に広まり、多くの青年たちを北の大地に招いてきた。そして、今もなお、かつて寮生だった者たちの胸に万感を呼び起こす。戦中・戦後の激動する時代においても、高度経済成長を経てバブル経済へと至る飽食の時代にあっても、恵迪寮生たちは「都ぞ弥生」を歌い続けてきた。「都ぞ弥生」は、厳しい北の自然の中で、自らを高め、自らを律し、自らを成長させようと願う若者たちの歌であった。札幌農学校の寄宿舎として開舎され、明治39年に命名された恵迪寮の歴史をたどりながら、あらためて「都ぞ弥生」これまでの百年とこれからの百年に思いをはせる。」 【佐川光晴(作家、北海道大学法学部卒、昭和58年入寮)】
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