(D51型953号機 2011.9.3 部長撮影)
きょう取上げるのは、D51型953号機という蒸気機関車です。現在は、豊浦町の中央公民館前に静態保存されています。製造は1941年、廃車は1976年。旧胆振縦貫鉄道のD51型で、1976年に廃車後、胆振縦貫鉄道に近い豊浦町に保存されました。ギースルエジェクター煙突を装備していることが特徴です。
この機関車は、2003年に解体されることになっていました。これは、その頃の画像です。保存状態は悪く、夕張鉄道保存会のメンバーが保存運動に乗り出しました。豊浦町に保存の要望書を提出したところ、次のような返答だったそうです。
「従前は1年に1回、50万円もかけて塗装をしており、冬にはシートをかけていました。当初は多くの人が見にきていましたが、最近は訪れる人も少なくなったので、1996年(平成8年)以降お金をかけて塗装するのは止めました。2000年(平成12年)にヘッドライトが傾き、何回か直しているうちに取れてしまいましたが、町の人からの反応は皆無でした。2002年(平成14年)のクリスマスに、機関車をイルミネーションで飾り、『室蘭民報』(新聞社)の記事に載ったのですが、これにも、町の人からの反応は皆無でした。町民の間からは、保存会など話は持ち上がりませんでした。町民から愛されていない機関車を、苦しい台所事情で整備することはできません」
D51-953号は、幸運な機関車だったと思います。十数年前とは違い、いまでは蒸気機関車1機が保存されていても、見向きもされなくなったという市町村は多いでしょう。補修費がかさみ、解体の運命を辿った蒸気機関車も多くあります。いろいろ複雑な思いは交差しますが、それでも、ひとりの鉄道ファンとしては、1機でも多くの蒸気機関車が残され、愛され続けて欲しいと思わずにはいられません。
※なお、このページに掲載した画像は、ブログ運営者がみずから撮影したものです。
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