丸井札幌店、美術工芸ギャラリー、2011年9月7日(水)-9月19日(月・祝)
畦地梅太郎(あぜち うめたろう、1902年-1999年)先生は、昭和期に活躍した日本の版画家です。山岳風景を題材とした木版画作品を多数発表し、「山の版画家」として知られています。画文集の出版や装丁、挿画などの分野でも活躍しました。
当初油彩画家を志していたのですが、船員、石版印刷工などを経て、24歳の時に内閣印刷局に就職し、仕事の空き時間に職場にある材料で鉛版画を試みたことがきっかけで、版画の道へ進んだというエピソードが残っています。
畦地梅太郎先生は、1937年夏に軽井沢へ出かけた折に浅間山に魅せられ、山を制作の主題に定めて以降、山の風景を描いた作品を多数発表しました。戦争中の満州への単身赴任などを経て、太平洋戦争後は「山男」シリーズを発表。山岳雑誌の表紙画の制作に長年携わっており、日本山岳会の会員にもなっています。不慮の右手親指のけが、大やけどの後は、家族をテーマにした作品を多く制作しました。穏やかでユーモラスな表情の中にも、深い愛情や憧憬を込めた作品は、いまなお根強い人気があります。特に、畦地先生の「黒」色の深さは、人々を魅了し続け、「(棟方)志功の赤、(畦地)梅太郎の黒」とまで賞賛されています。
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