「観るだけ美術部」部長のブログ

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[建築物]★白鳥ヒュッテ(山小屋、室蘭市)

★白鳥ヒュッテ(山小屋、室蘭市

 室蘭市の背後に鷲別岳、通称「室蘭岳」と呼ばれる山があります。山頂には1等三角点が埋設されており、白鳥湾を挟んで対岸にある測量山とを結ぶ測量線は、開拓初期に重要な測量地点とされました。

 室蘭岳は現在でも手軽なハイキングのコースとして人気です。その登山口から歩いて10分ほどのところにあるのが、紹介する「白鳥ヒュッテ」です。現在の山小屋は2代目ですが、最初に山小屋がこの地に立ったのは1931年(昭和6年)だそうです。当時は山スキーの拠点として使われたようです。

(白鳥ヒュッテ。玄関側(南西側)部分)

 2代目となる現在の建物は、初代の建物が焼失したのをうけて、1949年(昭和24年)日本製鐵(株)輪西製鐵所土木課によって再建されました。設計者は神尾友次郎。構造は木造2階建て、外壁は下見板張りで、内装外壁ともにエゾマツ材が使われています。屋根は矩勾配の半切妻屋根を主屋根とし、鉄板葺き。3方向に4寸勾配の下屋が附属されています。妻面上部にはハーフティンバー様式の化粧材が施されており、瀟洒な雰囲気が感じられます。構成平面はほぼ正方形であり、出入り口から土間を経た東側に管理人室を配置し、主室にはテツゲンのコークスストーブを中央に置き、西側には2段ベッドを2つ備えています。北側には旧管理室を改装した小上りと台所、東側に水処理システムとして活性炭浄化システムとオルガノエキノコックス虫卵除去装置、滅菌処理装置などが備わっています。台所の水や建物北西側にある外部パイプ取水口も、この浄水設備を使っています。

 小屋裏(2階部分)は、建設されて2年後の1951年(昭和26年)、利用者の増加に伴って増設されたもので、主室から梯子で上り、1階ストーブの上部を吹き抜け(金網張り)としています。

(白鳥ヒュッテ。テラス側(南東側)部分)

 白鳥ヒュッテには1949年(昭和24年)から2021年(令和3年)まで管理人が常駐していました。北海道内で管理人が常駐する山小屋はとても少ないので、貴重な存在でした。現在は常駐する管理人は居なくなり、「白鳥ヒュッテ友の会」が建物の維持管理をしています。

 

※なお、こちらの文章は、『室蘭岳 白鳥ヒュッテ物語 北海道の登山史から考える』(2022年)より抜粋構成しました。

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