昨日は、ホータンに宿泊しました。シルクロードの雰囲気をまだ残しているしっとりとした街で、ぼくは気に入りました。さて、きょうはさらに西へ進みます。メルケトという町まで、マイクロバスでおよそ9時間。途中、ヤルカンドという町で、観光も兼ねて休憩しながらの旅となります。
ホータンからヤルカンド、カシュガルへの道は、後漢時代に西域討伐に向かった大将軍「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」の言葉で有名な班超がたどった道。マイクロバスでの移動は、なかなかしんどいので、2時間に1回程度は休憩を取ります。道路状態もそれほどよくないので、辛抱、辛抱。途中に寄ったドライブイン。葡萄棚が綺麗で、癒されました。
ヤルカンドの町に着きました。ヤルカンドはシルクロード上の重要な町で、16世紀には小さいながらも、ヤルカンド・ハン国という王国の首府でした。現在では王宮はなく、城門だけが残されています。ここでは休憩も兼ねて、アマニ・シャーハン陵墓を見学しました。
アマニ・シャーハン(1526年-1560年)は、ヤルカンド・ハン国の第2代国王の王妃で、ウイグル族の古典音楽「12ムカム」を民間から収集し、整理して、後世に残した有名な詩人であると共に、美しい歌声で知られる音楽家だったそうです。きょうの宿泊地であるメルケトとも、多いに関連がありそうです。
さて、ヤルカンドの市街を抜けて、いよいよメルケトの町に着きました。メルケトは、新疆随一の芸術の町。「ドラン・ムカム」は世界無形文化遺産に指定されるほど有名ですし、この地域で描かれる「農民画」も、素朴な雰囲気です。
メルケトのホテルに着いたあと、すぐに「ドラン・ムカム」の鑑賞に出かけました。「ドラン・ムカム」は、ユネスコの世界無形文化遺産にも指定されている民族舞踊です。もともと、ウイグル族の歌舞演奏を「ムカム」と呼ぶのですが、ここメルケトの「ムカム」は、特別に「ドラン・ムカム」と呼ばれ、他の地域とは異なる、迫力の歌いだしが特徴なのだそうです。
実際に演奏と舞踊を観させていただきましたが、シルクロードの哀愁を漂わせ、とても貴重な体験となりました。ダイナミックな歌い出しが特に稀有だというのにも納得しました。
何度か書きましたが、ぼくは民族舞踊や音楽を観たり聴いたりするのが好きだし、民族料理・田舎料理を味わうのも楽しみです。「ドラン・ムカム」は、シルクロードの哀愁を漂わせるとても素晴らしい舞踊と音楽でした。