昨日は、今回の旅のハイライト、タクラマカン砂漠を縦断して、ニヤに到着しました。久しぶりのホテルは、まさに「御殿」のように感じました！ここからは、西域南道をマイクロバスで走り、５時間でやっと、きょうの宿泊地であるホータンに到着します。ホータンは、西域南道最大のオアシスで、かつては仏教国として繁栄しましたが、現在ではイスラム文化の色濃い町となっています。中国で宝石と言えば「玉」のイメージが強いですが、ホータンはその玉石の生産地としても有名で、『漢書』西域伝にも「玉を多く産する」という記載が残っていますし、マルコ・ポーロの『東方見聞録』でもホータン周辺の玉について触れられています。このように、ホータンは古来からシルクロードの要衝で、玉はその重要な交易品として珍重されてきました。
軽く昼食を済ませた後、玉石探しに白玉が採れると言われる「白玉河」に出かけました。白っぽい石を見つけては「これか？」と聞くけれど、ガイドさんは「違う」と首を振ってばかりでした。
ホータンから産出される玉石については、河西回廊を旅したときに、酒泉市で作られる「夜光杯」のエピソードのときに紹介しました。
mirudakeartclub.hatenablog.com
次に、ホータン郊外に行き、絹織物を扱っている絨毯工房を訪ねました。工房と言っても、家族で経営しているので、和やかな雰囲気です。「アトラス」という名前の絹織物で、ウイグル民族伝統の絹織物なのだと教えられました。図面を観ながら、数人で縫い上げていきます。
伝統的な方法で作られているので、とても雰囲気はよいのですが、完成品が出来上がるまで、どのくらいの時間がかかるのだろう、そして完成品は高値で売ってもらえるのだろうか、そんなことを考えました。
お土産用に、座布団サイズの作品も売っていたのですが、けちって、ぼくはコースターサイズのものを買いました。こういう民芸品って、大好きです。毎日そのときに買ったコースターを観ながら、旅行のことを思い出せますから。
時間が少しあったので、ホータン市街に戻って、小さなバザールにも立ち寄りました。このバザールには、食堂や野菜売り、肉屋さんなどもありました。とある土産物店によると、そこには白っぽい石で作られた急須が売ってあり、店員さんにしきりに勧められたのですが、これは本物なのかなあ。どうも違う気がしました（ガイドさんに聞くと、本物だったそうです。本物は、白く透けるように美しいのだそうです）。
これまで、西安市からシルクロードのかなりの距離を陸路でたどってきましたが、その中で、ホータンは一番、イメージ通りのシルクロードの雰囲気を残している町だなと思いました。クルマやバイク、自動三輪車などが行きかう町が多いなか、ここではロバがいまだに活躍しています。道路の両側にポプラ並木が続いているのも、イメージ通りです。ホータンに住んでいる地元の人々も、とても人懐っこく、古きよき時代のシルクロードの雰囲気が垣間見えた気がしました。
ホータン賓館も、贅沢を言わなければ十分満足できるレベルのホテルでした。夕食で、近くの食堂に行きました。羊肉を使ったホータンの郷土料理があったので注文しました。ナンの上に、羊肉がどんと乗っています。スープも羊肉の出汁が出ていて濃厚でした。付け合わせで、ジャガイモなども乗っていました。美味しかったですよ。
あしたは、メルケトという小さな町に向かいます。新疆で随一の芸術の村だとか。楽しみです。
