「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[建築物]★旧北海道船用品株式会社(室蘭市、解体済み)2階部分

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(左側の建物が、北海道船用品株式会社。右側の建物は、若林金物店

 「蘭歴建見会」の会長さんから、これから記事に上げる「北海道船用品株式会社」の建物が解体されるという話を聞き、解体前に内部の調査が入るので、その折に、会員も見学できるように手配します、という話がありました。5月9日(日)に内部の見学をしましたので、その様子を記事にUPします。画像が多めなので、1階部分と、2階部分にわけて、2回の記事とします。今回は、2階部分についてです。

 

 

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(急階段を上ると、ここに出ます。2階道路側、道路から見て左側の部分)

 1階の店舗部分左側に設置されていた急階段を上ると、この画像の部屋に出ます。雰囲気としては、仮の倉庫部分といった感じで、店舗に品出しする前の商品を仮に(一時的に)取り置きしておく場所だったのでしょう。

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(上げ下げ窓。正面から見える上げ下げ窓は、このような構造になっていたのですね)

 この部屋に来て、初めてこの建物の上げ下げ窓を内側から観ることができました。外観からはわからなかったのですが、二重窓の構造になっていたのですね。

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(屋根裏部分に続く階段。とても不安定だったので、このさきは行けません)

 この借り倉庫部屋の片隅に、さらに傾斜のきつい階段がありました。屋根裏部屋に続くようです。屋根裏部屋は、なかなか売れないような商品を置いておいたのかもしれませんね。

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(造り付けの三段ベッドがありました)

 さて、さきほどの仮倉庫部屋の隣りには、壁紙も張られた小奇麗な部屋があり、そこには造り付けの三段ベッドもありました。画像左下には、小さな囲炉裏もあります。壁面の鴨居には番号の書かれたフックもありました。こちらの部屋は、従業員の部屋か、あるいは船用品店という性格から寄港した船員の仮宿泊所だったのかもしれません。

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(部屋に残っていた囲炉裏)

 この部屋に残っていた囲炉裏は、まだ灰も残っており、タイムスリップでもしたような気持ちになりました。宿泊者はきっとここで暖を取ったのでしょう。

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(備品なども無造作に置かれていました。お茶箱に外国旗が入れられていたのでしょう)

 解体直前だったこともあり、備品などもあちこちに無造作に置かれていました。画像右側のお茶箱には「外国旗」の文字。さすがは、7つの海を舞台に活躍した会社さんですね。

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(廊下に経営者の写真も置かれていました。処分されるのか、博物館に収蔵されるのか)

 さきほどの3部屋(仮倉庫、宿泊部屋、その隣の部屋)を廊下で挟んで、住宅部分があります。廊下を挟んでまず、応接間がありました。

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(住居部分。こちらの部屋は、おそらく応接間だったのでしょう)

 ここからさきは、住宅部分です。こちらはおそらく、応接間でしょう。畳敷きで、その上にカーペットが敷かれてあり、瀟洒な椅子も置かれています。奥には床の間も設置されています。

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(応接間に残る欄間の透かし彫り。これは貴重だなと思いました)

 応接間と隣部屋を仕切る欄間には、透かし彫りが施されていました。これは贅を尽くした造作で、貴重なものだな、壊されるのは惜しいな、と思いました。

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(2階のこの廊下を挟んで、左側に応接間とその隣の部屋、右側に小部屋と階段が設置されていました)

 この廊下を挟んで、左側奥に応接間、手前に次の間がありました。右側に手前に使用人の控え間、奥に階段が設置されています。手前に見える障子のガラスは、歪んで見えるガラスなので、建築当初のものと推察されます。

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(2階の住宅部分から1階に降りる階段。ゆるい傾斜だがくねくねしている)

 さきほどの廊下の奥に設置されているのが、2階住宅部分から1階住宅部分に降りる階段。店舗側にある階段ほど急傾斜ではありませんが、その分段数を稼がなければいけないので、構造はくねくねしています。この階段の造作はとても面白いです。

 

 やむを得ないことでもありますが、やはり、このような古い建物が解体されるのを目の当たりにすると、とても残念な気持ちになります。でもせめて、解体前に見学でき、その様子をこうして記事にUPできてよかったな、と思いました。

あしたはきょうよりもっといい日。