「観るだけ美術部」部長は、近世近代の建築物が大好物です。室蘭市には、明治大正期の建築物が多くあり、それを観ながら散歩するのは、部長の秘かな楽しみでもあります。室蘭市の「蘭歴建見会」という団体の、隅っこ会員でもあります。
「蘭歴建見会」の会長さんから、これから記事に上げる「北海道船用品株式会社」の建物が解体されるという話を聞き、解体前に内部の調査が入るので、その折に、会員も見学できるように手配します、という話がありました。5月9日(日)に内部の見学をしましたので、その様子を記事にUPします。画像が多めなので、1階部分と、2階部分にわけて、2回の記事とします。今回は、1階部分についてです。
こちらの建物は、普段はほとんどシャッターが閉められており、内部を観るのは初めてだったので、とてもテンションが上がりました。「北海道船用品株式会社」さんは、現在も室蘭市に本社を持つ大きな会社で、苫小牧市や函館市にも支店があります。鉄筋コンクリート造りの2階建てで、正面上部のマークから、伊藤船具店(北海道船用品株式会社の前身)時代に、住友グループと深い関連があったことが推察されます。
1階手前(道路側、この画像だと左側)部分は、左側(この画像だと左側から奥の部分)の店舗部分と、右側奥の事務所部分に分かれます。1階奥は、住宅部分になっています(なお、1階奥の住宅部分は、最近まで使用されており、改装された部分がほとんどでした)。
店舗部分には、造り付けの陳列棚も残っています。左側に急な階段が設置されており、店舗部分から直接2階に上がることができます。
この階段は、とても急傾斜でした。1階奥の住宅部分には、住宅部分から2階に上がることができた階段もありますから(後述)、こちらの階段は非常用、あるいは業務用、と考えたほうがよさそうです。
こちらの画像では、そんなに急傾斜には見えないですけど、結構な傾斜です。内壁板や天井板が外されていたので、小屋組があらわになっており、構造がよくわかったので、とても興味深かったです。
1階の右側が、事務所部分です。店舗部分の一角に事務所スペースを確保しました、という感じです。
事務所部分には、まだ大型金庫が残っていました。黒くて大きくて、存在感がありました。
事務所部分の壁面に、認証マークが残っていました。「ハッタ消火器」と書いてあります。おそらく、船用の消火器の取扱代理店であった認証マークでしょうね。
事務所の壁面にはもうひとつ、こちらの認証マークもありました。「カナエ塗料株式会社」「FRP船用カラー船底塗料」と書かれています。
次回の記事では、2階部分の紹介をしていきます。