この日は蘭州市を抜けて、武威、張掖に向かいます。黄河ともここでお別れになります。武威市は、かつて「金の張掖、銀の武威」とまで言われ、明代までは河西回廊の中でもたいへん栄えた重要な町でした。現在は、比較的田舎の風情が残る静かな街道の町となっています。
マイクロバスに乗り3時間ほど、ようやく武威市に到着しました。まずは、町の中心街にある「文廟」を詣でます。ここは孔子を祀る廟で、ここ武威市に限らず全国各地にあります。孔子廟ですね。武威市の文廟は、明代1439年の創建で、孔子廟としてだけでなく、儒教を学ぶ儒学院、及び宝物庫・博物館、という機能もあるそうです。
「文廟」の裏にあるのが「武威西夏博物館」です。ここには、仏教の経典や、西夏時代の文物が展示されています。西夏は、元朝によって滅ぼされた王朝ですが、それにもまして重要なことは、この王朝が独自の文字を持っていたということです。こちらの博物館にある「西夏碑」は、表面に西夏文字、裏面に漢字が刻まれています。裏面表面とも同内容のことが書かれています。イギリス大英博物館収蔵のロゼッタストーンと同様です。現在では、西夏文字は完全に消滅してしまった言語なので、その存在証明と解読に多大な貢献をしました。
玄奘三蔵と並んで、シルクロード史に燦然と輝く人物が「鳩摩羅什」です。武威市の旧市街地北部には、その「鳩摩羅什」にゆかりの寺院があり、記念の仏塔が建っています。現在のものは、1927年の大地震で倒壊したのち、復元されたものです。
昼食を取ったあとは、マイクロバスで武威市を抜けて、張掖市に向かいます。武威市を出てから3時間ほどして、山丹県というところに着きました。ここには、明代の長城跡が比較的よい状態で保存されています。
長い乗車のあと、ようやく張掖市に到着しました。ホテルに着いた後、ちょっと周辺を散策しました。「鎮遠楼」という建物がありました。シルクロード上の町の遺構といった感じです。このあたりは小さい町なので、かつてのイメージ通りの街並みが残っています。
散策の途中で、夜店が並ぶ通りを歩きました。屋台だけでなく、食堂なども軒数が多いです。写真の「揚げドーナツ」は、2個で3元(60円くらい)。食堂では10元もあれば、お腹いっぱいになります。