「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[シルクロード]★河西回廊 西安とシルクロード石窟寺院 5日目 (007)

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(「観るだけ美術部」部長のシルクロードキャラバン(妄想編)の予定ルート)

 宿泊している蘭州市は、標高1,600mほどのところにあり、甘粛省省都でもあります。また、黄河が初めて出会う大きな町としても有名です。黄河はこの町の北側を流れていくのですが、その両岸には高層ビルも建ち並んでいます。

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黄河に架かる「黄河第一橋」。「中山橋」とも呼ばれています)

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蘭州市街と黄河。見えているのは「黄河第一橋」。両岸に高層ビルが建っています)

 きょうは、この度のハイライトのひとつ「炳霊寺石窟(へいれいじせっくつ)」を訪れます。「炳霊」とは、「十万仏」の意味だそうです。黄河の流れをせき止めて造った巨大な人造湖「劉家峡ダム」ができたため、その上流に位置していた「炳霊寺石窟」は、ボートや船でしか行くことができなくなったのですが、ボートでなければいけない石窟寺院って、興味がわきませんか。

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黄河の上流に建設された「劉家峡ダム」)

 宿泊していたホテルからマイクロバスをチャーターして、「劉家峡ダム」に向かいます。乗車時間は3時間ほど。ちょっとお尻が痛くなりました。「劉家峡ダム」についたら、さらに1時間ほど走り、そこからボートに乗り継いで30分ほどで、「炳霊時石窟」に到着します。

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黄河をボートで遡り、「炳霊寺石窟」を目指します)

 「炳霊寺石窟」は、ボートでしか行くことができないため、気候のよい春から秋に行くのがおススメです。冬も行けなくはないですが、かなりの極寒を覚悟しなければなりません。

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(「炳霊寺石窟」の中央に鎮座する摩崖仏。左横に見える階段から、その大きさを想像してください)

 黄河の流れと険しい峡谷によって、イスラム教徒による破壊や盗掘から守られたため、ここには貴重な仏像が多く残されました。特に注目なのは、第169窟(特別窟)。ここに残されている『西秦建弘元年』(西暦420年)という題記は「中国で最古の題記」とされています。題記とは、石窟の由来などを壁面に書いたもので、石窟が作られた年代を特定するのに役立ちます

 中央に鎮座する巨大な摩崖仏は、ビルの6階ほどの高さにもなります。現在は修復中で、足場が組まれていました。梯子をよじりながら登ると、その中央摩崖仏の頭上、向かって左側に大きな窟があります。第169窟(特別窟)です。第169窟に残された壁画はとても保存状態がよくて、1600年もの昔に描かれたとは思えない輝きに満ちています。

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(中央の摩崖仏へ向かう歩道。様々な仏像が並び壮観です)

 帰途、第172窟も見学しました。こちらも素晴らしかったです。ここに仏像を彫ったり、ここで修業をした仏師や僧侶たちは、どんな思いでいたのだろうかと、ふと思いを馳せました。

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(「河州包子(フーヂョウバオズー)」。回族家庭料理。肉まんですね)

 夕食に出た回族イスラム民族)風包子(パオズー)「河州包子(フーヂョウパオズー)」。蘭州市から130kmほど離れたところに、回族自治州があります。「臨夏回族自治州」と言うのですが、その土地に古くから伝わる家庭料理なのだそうです。「河州」の名前は、「黄河」から来ているのかな。にんじんと牛肉の餡が入っており、ラー油と黒酢をつけて食べます。こういう地方のローカル料理を味わえるのも、旅の醍醐味です。

あしたはきょうよりもっといい日。