「観るだけ美術部」部長のブログ

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[講演会]★(当館学芸員)「アトリエ資料をたどる」

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(木田金次郎 アトリエ解体新書展)

★(当館学芸員)「アトリエ資料をたどる」

 木田金次郎美術館、2021年5月8日(土)13:00

(WEBサイト→)

www.kidakinjiro.com

 1996年(平成6年)に開館した木田金次郎美術館は、昨年11月3日で開館25周年を迎えました。開館当時、木田金次郎(1893-1962)の油彩約90点の収蔵からスタートした当館は、様々なご縁をいただきながら作品の寄託や寄贈を受け、現在は油彩約170点を数えるまでになりました。その都度、新たな木田金次郎像が判明し、館の活動も充実しています。
 当館では、1954年(昭和29年)年9月の「岩内大火」後に再建し、今も町内に残る木田の自宅から、2015年(平成27年)5月に蔵書やアトリエの資料を預かりました。いずれも木田が触れ、用いた貴重な資料です。これらの資料を当館では2015年7月の特別展示から、「アトリエ復元」として、画材などを展示室で紹介しているほか、資料に注目した企画展「木田金次郎 アトリエからの再発見」(2014年11月)、「木田金次郎の本棚」(2016年11月)を開催して参りました。
 今回の展覧会では、木田の創作の舞台となったアトリエ資料から、画材を中心に注目していきます。とりわけ、3つのみかん箱に詰め込まれた、使い切った油絵の具のチューブは、おそらく自宅再建後、すなわち「岩内大火」以降に木田が用いた絵の具のほぼ全てが含まれると考えられます。今回初めて、この中の分類整理を試み、用いられている絵の具の色と数量が判明いたしました。このような分析は、他の画家でも行われたケースは少ないと思いますが、木田の制作の内面に迫る「解体新書」として、興味深い分析結果の第一報となるかと存じます。
 開館から25年、「四半世紀」を経て、収蔵作品の充実などから、年々新たな作家像が明らかになる木田金次郎。アトリエにのこされた「もの」を通して、今回の展覧会が、木田の創作について様々な考えを巡らせる機会になれば幸いです。
 なお、こちらの「美術館講座2021」は、自宅に残されていたアトリエ資料を少しずつ整理する作業の途中でみつけた意外な発見をご紹介するものです。

 

※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、木田金次郎美術館さま(HP)よりお借りしました(2020年の企画展のもの)。

あしたはきょうよりもっといい日。