「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[建築物]★日本製鐵(株)知利別会館(室蘭市)

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日本製鐵(株)知利別会館の外観。1940年(昭和15年)の建築)

日本製鐵(株)知利別会館(室蘭市

 知利別会館は、かつて新日本製鐵(株)の社宅街で、郊外的な色合いが強い強い知利別地区に、1940年(昭和15年)に建築されました。当時、新日本製鐵(株)が発注した建設費は100万円以上と言われ、戸田組が施工を請け負いました。当初は幹部職員向けの職員倶楽部として建築されましたが、戦後は社内外の来賓の接待、部長以上の出張所のほか、従業員の婚礼などにも用いられてきました。終戦後のおよそ1年半、GHQ進駐軍により接収され宿泊所になりました。十数年前までは、木造下見板張りの社宅が並ぶ中で異彩を放つ建物でしたが、現在までも修復を重ねながら、現在でも華やかなりし当時の面影を残す唯一の生き証人として、落ち着いた佇まいを見せています。

 敷地は旧職員地区の丘陵地で、南側には木立に囲まれた植栽豊かな庭が控えています。外観は、中央に象徴的な尖塔がそびえる白亜の洋風木造建築で、正面には車寄せが作られています。

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(知利別会館の正面玄関。重厚な両開きの扉が見えます。手前は車寄せ)

 正面玄関から入館すると、1階は正面に、緑まぶしい庭と、それに続く遠景を望むことができるサンルームがあり、ここから庭に出ることもできます。

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(画像の左側に見える扉がサンルームと繋がっており、庭に出られる構造になっています)

 サンルームの右側には応接室、談話室、撞球室(ビリヤード室)が配置されています。ちなみに、この談話室と撞球室(ビリヤード室)は、ドラマ『Mother』撮影にも使われ、出演した芦田愛菜さんのサインや写真も飾っていました。華やかなシャンデリアと重厚な調度品が雰囲気を高め、さながら高級なBARのようです。

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(庭から建物を望む。手前から撞球室、談話室、応接室、正面サンルーム)

 また左側にはテルマエ様式の丸窓が印象的な客室と、客室を抜けると改築時に増設された食堂があります。庭側から見ると、最も瀟洒な雰囲気が感じられる部分です。

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(上部が丸窓になっており、瀟洒な雰囲気の客室)

 ステンドグラスに彩られた階段を上ると、2階には「牡丹の間」と称される大広間と、廊下を挟んで8つの和室が配置されています。まるで和風旅館のようでした。

 知利別会館は通常内部見学不可ですが、「観るだけ美術部」部長は日本建築学会北海道支部主催の見学会で、内部を観ることができました。館内は写真撮影不可でしたので画像はありませんが、貴重な経験でした。

 

 

あしたはきょうよりもっといい日。