★茂木多喜治「親子熊」ほか(八雲町木彫り熊資料館 収蔵品常設展)
八雲町木彫り熊資料館、常設展示(通年開館)
(WEBサイト→)
すこし昔までは、玄関に木彫りの熊が飾ってあったのをよく見ました。そのルーツのひとつが、八雲町です。八雲町にある木彫り熊資料館は、お土産品から芸術作品までさまざまな木彫り熊をまとめて見られる、道内でも唯一の施設。その誕生にまつわるエピソードとともに、八雲独自の木彫り熊文化にもふれることができます。
colocal.jp
スイスの木彫り熊をお手本につくられた第1号の木彫り熊の作者は、芸術家ではなく、八雲に暮らす酪農家の伊藤政雄さん。そもそも、木彫り熊をスイスから導入したのは、尾張徳川家十九代、徳川義親(よしちか)公。尾張徳川家は、十七代慶勝公が主導し、明治維新を機に職を失った旧尾張藩士族の新天地として、1878年から八雲町の遊楽部(ユーラップ)へ入植。八雲地域の開拓を始めます。人々の貧しさを憂いた義親公は1922年、ヨーロッパ旅行中に立ち寄ったスイスでペザントアート(農村美術、いわゆる民芸品)に触れ、持ち帰って八雲の農民たちに見せ、冬季間の副業として家庭での民芸品づくりを奨励しました。スイスの木彫り熊はその中のひとつです。
続く1924年、八雲を始め全国から民芸品が出品された〈農村美術工芸品評会〉が開催され、そこに木彫り熊が出品されます。1932年ごろには北海道のお土産として認知され、戦後の観光ブームに乗って、たくさん売れていったそうです。