「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[鉄道遺産]★タウシュベツ川橋梁(鉄道遺産55)

 タウシュベツ川橋梁(タウシュベツがわきょうりょう)は、上士幌町糠平湖にあるコンクリート製アーチ橋です。「タウシュベツ橋梁とも呼ばれます。「タウシュベツ」とは、アイヌ語で「樺の木が多い川」を意味しています。よく晴れた風のない日に、湖面に橋が映ると、眼鏡のように見えます。また、アーチ橋ということもあり、「めがね橋」の別名を持っています(画像を観ると、よくわかります)。古代ローマの遺跡を思わせるその姿は、周辺の景色とも調和しており、第1回「北海道遺産」に選定された「国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」のひとつでもあります。
 
 もともとは、旧国鉄士幌線(1987年(昭和62年)廃線)が1939年(昭和14年)に十勝三股駅まで開通した際に、音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられたもの。1955年(昭和30年)に、発電用人造ダム湖である糠平湖が建設され、橋梁周辺が湖底に沈むことになったため、士幌線は湖を避けるように新線が引かれました。その際に、橋梁上の線路は撤去されたものの、橋梁自体は湖の中に残されることとなったため、現在までその姿をとどめる結果となりました。
 
 糠平湖は人造湖であり、季節や発電によって水位が劇的に変化するため、橋梁全体が水に覆われてしまう時期もあれば、水位ゼロとなって橋梁全体が見渡せる時期もあります。その様子から、「幻の橋」とも呼ばれます。糠平市街に鉄道記念館があり、士幌線の説明資料や、他の橋梁についての情報があるので、見学の際は、そちらを見てからのほうがよいでしょう。
 
 糠平湖付近に残されている30余りのアーチ橋梁群には、廃線から10年後の1997年(平成9年)、解散を控えた国鉄清算事業団により、解体計画が立案されました。これに対して、地元有志の保存活動が高まり、上士幌町が買い取る形で保存されることとなりました。
 しかしタウシュベツ橋梁の、例年水没・出現を繰り返すという人気を博する環境条件は、すなわち、水没中の水圧、結氷期前後の氷による外力、及び、凍結・融解を繰り返す凍害にさらされるという、極めて過酷な環境を意味しています。従って、年々躯体の損傷は拡大しており、いずれは崩壊する運命にあるとも言われています。
 工法として、現場打ち鉄筋コンクリート枠の内部に割石を詰める、現代でも枠工法で用いられる手法が採用されています。これは、安く、早く、優美な形状のアーチを築造せしめた当時の国鉄技術陣の良案であったようです。ただし、この工法は、外側の枠が崩れた場合、内部の詰め石が容易に崩壊する欠点を抱えてもいるそうです。現在、この弱点が露わとなり、橋の崩壊は時間の問題だとか。
 
 アーチ橋梁群は「北海道遺産」に登録されているのですが、タウシュベツ橋梁は、その立地の悪さから、保存措置の対象外とされています。これに対し、貴重な歴史遺産として補修を熱望する声は多いのですが、費用・財政面で、極めて厳しい状況にあるのも事実。また逆に、あえて保存措置を取らず、在るがままに任せ、朽ち行く姿を遺跡として観察しようとする考え方もまた、多いようです。結局、主に財政面の理由により、タウシュベツ橋梁は手付かずのまま、現在まで見守られている状態にあります。ただし、崩落を招く危険があることから、橋の上を歩くことは禁じられています(立入禁止。また、湖面に転落した場合、生命の危険は大きい)。
 
 タウシュベツ橋梁の見学のため、国道273号沿いには駐車場が設置され、湖畔に展望台が設けられました。2009年(平成21年)までは、国道273号から糠平三股林道を経由し、タウシュベツ橋梁に直接到達することができましたが、橋梁崩落の危険性などを理由として、林道は閉鎖されました。
 
↓ 「鉄道遺産」では初めて、橋を取り上げてみました。「絵画」部門で2位となりました。
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あしたはきょうよりもっといい日。