「観るだけ美術部」部長のブログ

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あしたはきょうより、きっといい日。

[建築物]★松前光善寺 山門・鐘楼門・前庭(血脈桜)

松前光善寺
 浄土宗の寺院。1575(天正3)年に建立され、後水尾天皇から山号と法衣を賜ったと言われています。19世紀中期に作られた美しい庭園があり、境内には桜の名木血脈桜があります。樹齢は推定で300年と言われています。

 「血脈」とは、人が極楽へ渡る際の、いわば通行手形。仏から、その教えを伝える代々の僧を通り、法統の流れが確かにあなたにまで連なっています、と記す証明書だそうです。元々、死に瀕した人がそれを乞うのですが、18代住職のとき、本堂の改修のためサクラを切り倒すことになったある夜、「わたくしの命は間もなく消え失せます」と血脈を乞う美しい女性が訪れました。不思議に思いつつ授け、朝を迎えると、サクラの高い枝に白い封書が揺れている。血脈だ。さてはサクラの精だったかと、住職は胸を打たれ、切り倒すのをやめたと言います。

 第31代住職の松浦拓雄さんは、血脈桜のおかげでたくさんの人に出会えることを「ありがたい」と語ります。毎年春先には、「今年もしっかり咲いてね」と、サクラの木に声をかけるそうです。「南殿で、数百年もの時を重ねた例は、ほとんどないそうです」と、31代住職の松浦拓雄さんが語る通り、この木が持つ生命力には、目を見張るものがあります。扇型に開いた2本の幹は、朽ちた古幹の中を、新たに生まれた根がからみ合い、這い下り、永遠の再生力と力強い脈動とを感じさせる。
 事実、明治36年に本堂と庫裡を全焼させた火災からも復活。火をかぶり、誰もが助からないと思った状態からよみがえったのだそうです。「そんなこともあるせいか、木というより、神秘的な…人格のようなものすら感じます」と住職。「血脈を欲しいという話も、死ぬなら、極楽に行って永遠の命に連なりたい、という人間臭い願望ですしね」。

 花の盛りには、早朝から夜中まで人が訪れ、なかには、1日中たたずみ、眺めていく人も。「むかし来て、観たときは何とも思わなかったが、退職したら急にこの桜が見たくなって」と、感慨深げに語る人もいれば、「この木からパワーがもらえた!」と喜ぶ若者もいます。何をしてあげたわけでもないが「ありがとうございました」と、住職に丁寧に礼を述べていく人も多いそうです。
 「血脈桜」は、咲き始めは白っぽく、日を追うにつれ、血が通うかのように花びらに赤みがさします。花芯の赤さは、紅をたらしたよう。ボリュームある八重咲きが枝を覆うと、グラマラスな花扇が出現するのですが、実は一番いいのは、「満開から2、3日後」と住職。「花がより大きくふくらみ、葉も少し現れ、何ともいい風情になる」そうです。

 光善寺は、もともと大館にあって高徳山と号していました。1575年(天正3年)再建され、高山寺と称しましたが、慶長7年光善寺と改称しました。京都百万遍忍教寺の末寺とされています。かつては、後水尾天皇から、山号と法衣を賜った古刹だと言われています。19世紀中期に造られた美しい庭園があります。境内には、松前藩10代藩主の子ども・11代藩主の正室などがお祀りされております。

 光善寺の山門(仁王門)は、1760年(宝暦10年)上棟。仁王門の彫刻に、ぶどう、菊、鳳凰、りす、が刻まれ又色彩などから中国に発生したものと思われます。左右の仁王様に紙つぶてが着いておりますが、これは昔からのしきたりで、病魔退散を祈願するために行われました。眼を患ったり、腹やみをしたとき、紙を口に入れて噛み、病気の個所の眼や腹をめがけてその紙を投げ付けて、お祈りをしたそうです。
 左の仁王様は口を開いて「あ」右の仁王様は口を閉じて「うん」を現わしています。「あ」「うん」はインドで古くから行われた呪いで、この二文字を一切の文字発声の根本としたものであり、又生まれから死までを現したものだともいわれています。

 また、境内には有名な鐘楼門があります。1847年(弘化4年)の建築。吊るされている陣鐘は、仙台出身の岡鹿門という者が、明治23年松前に作った『松前八景』の中に、光善寺の晩鐘として詩われました。ここで打たれた鐘の音が、いんいんとして城下に鳴り響いたと伝えられていますが、残念ながら、梵鐘は太平洋戦争中に強制的に供用されてしまいました。現在ある梵鐘は、1980年(昭和55年)に、京都より買い入れたもので、重さは1,000Kg。

★「観るだけ美術部員」のつぶやき
 松前光善寺の血脈桜は、北海道を代表する銘木です。松前で有名な「南殿」と呼ばれる品種は、この血脈桜を親木として改良されました。かなりの樹齢を持つ古木で、樹勢も衰え気味ですが、それでもシーズンになると立派な花を咲かせ、観るひとを和ませてくれます。

★「北海道松前藩観光奉行」HP(血脈桜)
http://www.asobube.com/database.cgi?dbnum=69&dbkonum=1
★「北海道松前藩観光奉行」HP(光善寺
http://www.asobube.com/database.cgi?dbnum=69&dbkonum=0
★「北海道松前藩観光奉行」HP(鐘楼門)
http://www.asobube.com/database.cgi?dbnum=69&dbkonum=4
あしたはきょうよりもっといい日。